2012年4月22日日曜日

Clipping News:フロンティアコーポ・メディック:So-netブログ


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1.患者情報一元管理 カルテやレセプトデータベース化/京都府
2.京大iPS欧州特許 出願3年、地道な交渉 特許権荒らされる懸念薄まる
3.ADA欠損症、国内初の遅発型を診断
4.埼玉医大、ES細胞で多能性維持の仕組み発見 がん化回避に期待
5.皮膚疾患の小型治療器、渋谷工業など開発
6.「トラウマ」の一端解明 恐怖が神経細胞のつながり変える
7.全壊した福島の保科病院、破産寸前から再生までの軌跡
8.東京で在宅専門診療所を経営していますが、被災地石巻でも開業します
9.支援医師を被災地に送り出すための裏方仕事
10.震災後に高齢患者が急増した宮城県気仙沼市
11.SAH好発部位、コイルは34% 「どちらとも言えない」が44%と高率
12.脳出血治療中の患者にセレコックスを処方してヒヤリ!
13.携帯電話の発癌リスク、エビデンスは限定的
14.高用量スタチン服用者は糖尿病発症リスクが12%上昇
15.看護師が少ないと院内死亡率が高い
16.STEMI患者でDIDO時間が30分超は、30分以下に比べ院内死亡率が約1.6倍に
17.ハイリスク中高年男性への肥満手術、死亡リスク減少せず
18.鎌状赤血球症患者の肺高血圧症、カテーテル検査による有病率は6%
19.急性心不全患者へのnesiritide、再入院や死亡率を改善せず
20.HIV感染者の潜伏性結核、新規レジメンに優位性なし、南アフリカ調査
21.糖尿病診断時の糖尿病性ケトアシドーシス、複数の要因が関係
22.1型糖尿病へのリアルタイム持続血糖モニター、HbA1c値の低下と関連
23.Adherence to Angioplasty/Stent Guidelines Lacking: Study
24.Psoriatic Arthritis Patients Seem to Lack Enough Vitamin D
25.Sleep Apnea Linked to Blood Vessel Disorders in Study
26.Study: Potassium Boosts Heart Health, Salt Harms It
27.Coordinated Cooling Effort After Cardiac Arrest Can Improve Outcomes
28.Parkinson's Patients Still Prescribed Antipsychotics Despite Warning
29.JMM:原発作業員・福島県民の声
30.<速報>新潟県内のA事業所で起きた風疹感染
31.<速報>1年にわたる気管支炎・肺炎の流行と検出ウイルスの推移―秋田県
32.ブタの日本脳炎HI抗体保有状況調査-2011年速報第1報-
33.腸管出血性大腸菌感染症発生状況(速報) 第26週
34.米国産のウシ由来の原材料を使用している医薬品等について
35.平成22年国民生活基礎調査の概況
36.プレスリリース
1) がん細胞による免疫応答抑制の新たな仕組みを解明
2) World's First SVM-Based Image Analysis iPhone App for Melanoma Risk Assessment, MelApp, Launched by Health Discovery Corporation
3) 「痔の大規模患者調査」受診率は4割、誰にも相談せず一人で悩むのも4割
4) 医薬品による副作用情報を電子カルテから抽出する技術を東大病院と共同開発
5) 電子カルテの入院経過表に血糖測定データを転送するシステムを提供
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1.患者情報一元管理 カルテやレセプトデータベース化/京都府
京都新聞社2011年7月12日

京都府は、府内の医療機関が持つ患者のカルテやレセプト(診療報酬明細書)の情報を一元的に集約、管理する「京都医療データベース」(仮称)の構築に乗り出す。情報の一元化で医療機関の連携がスムーズになり、検査の重複回避や医療費の抑制にもつながるという。都道府県単位での医療情報の共有化は全国に例がなく、府は関係者による協議会を本年度に立ち上げ、実現を目指す。
■検査の重複回避
 カルテ情報は各医療機関が管理しているが、府内全域でデータベース(DB)化して活用すれば、診療情報の共有で転院や患者紹介が円滑になり、患者が同じような検査を何度も受けることや薬の過剰処方も避けられる。
 また、レセプト情報は健康保険の種類によって保有機関が異なるが、DB化して分析すれば、地域ごとに多い病気の傾向なども把握でき、医療政策にも生かせる。
 すでに、京都大付属病院(京都市左京区)と京都医療センター(同市伏見区)がそれぞれ中心になって診療情報をDB化し、効果をあげているという。
 個人情報保護の観点から、DBへの登録は患者の同意が必要になるとみられ、患者によって情報アクセス可能な医療機関を制限する方向で構築していく。
 実現には、民間を含めた医療機関の協力が不可欠なため、府は本年度中に病院や医療団体、大学などによる協議会を設置し、2013年度までに診療情報のDB化を目指す。レセプトDBも同年度までにつくり、将来的には二つを統合した京都医療DBを確立する。
 府は構想を盛り込んだ府地域医療再生計画案を厚生労働省に提出している。認められれば最大で3億2500万円の交付金を受けられるため、厚労省に採択を強く求めていく。
 府医療企画課は「医療現場で使いやすいデータベースを構築することで、参加する医療機関を増やしていきたい」としている。

2.京大iPS欧州特許 出願3年、地道な交渉 特許権荒らされる懸念薄まる 
産経新聞社2011年7月12日

京都大は11日、山中伸弥教授が世界で初めて開発した、さまざまな組織や臓器の細胞になる能力のあるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製技術について、欧州で特許を取得したと発表した。
 京大は出願から約3年を経て、数多くの研究者を抱え市場規模も大きい欧州におけるiPS細胞の、作製技術の特許取得という高い「壁」をようやく越えた。iPSの特許は、京大の山中伸弥教授が日本で取得して以降、類似技術を開発した米国など海外で特許申請が相次ぎ、iPS技術の特許権が"荒らされる"ことへの懸念も出ていた。
 だが京大は、iPS技術が競合している米ベンチャー企業の保有する、英国や米国で成立した特許を含む世界各国で出願済みの約30件の製造技術に関する特許などについて交渉を重ね、今年1月に無償譲渡を受けることに成功し、最大のライバル企業との係争を回避。また欧州の特許事務所の意見を取り入れながら、現地の法律を踏まえて出願書類の内容を丁寧に検討。その上で、地道に欧州特許庁とも交渉を重ねてきた。
 欧州特許の成立は、特許の出願や登録に必要な、国からの多額の資金援助があったからこそできたことでもある。11日の会見で山中教授は「大学が、国の支援を受けながら一体になることができた」と分析した。今後も新技術について、特許を成立させていくためには、大学関係者が一枚岩になるだけではなく国の継続的な支援も必要不可欠だ。
京大の特許成立により、欧州で特定企業が特許を悪用し法外な権利料を得る事態に至る懸念も回避された。最大の市場である米国での特許も成立の公算が大きく、これで再生医療や創薬の分野でiPS技術の実用化に弾みがつきそうだ。
 【用語解説】iPS細胞
 細胞を、さまざまな種類の細胞に成長する前の初期状態に戻し、受精卵のように多様な細胞に成長する能力を、改めて持たせたもの。山中教授が4つの遺伝子を皮膚細胞に注入する手法で初めて作製し、その後、遺伝子の数を減らすなどさまざまな作製法が発表された。再生医療に用いる場合は、がん化のリスクをなくす作製法が必要。病気の仕組み解明などへの応用も期待されている。
 【用語解説】欧州の特許制度
 欧州特許条約加盟国(現在38カ国)では、欧州特許庁に出願する方法と、各国に出願する方法がある。欧州特許庁で特許が認められると、特許権を有効にする国を選択できるが、国ごとに特許の登録料が発生するため、通常は必要な国だけで登録することになる。複数の国で特許権を得たい場合、欧州特許庁に出願すると審査が1回で済む。だが、例えばドイツならドイツ1カ国だけで特許権を得たければ、直接、ドイツ特許庁に出願した方が出願料は安く抑えられる。

3.ADA欠損症、国内初の遅発型を診断
読売新聞社2011年7月12日

富山大学付属病院(富山市杉谷)は11日、免疫が正常に機能しない難病のADA欠損症(重症免疫不全症)で、1歳以降に症状が出る遅発型を国内で初めて診断したと発表した。
 患者は県内の男児(4)で、今年3月に骨髄移植を受けて免疫機能がほぼ正常に戻り、現在は通院治療を続けているという。
 ADAは「アデノシンデアミナーゼ」と呼ばれる酵素で、欠損すると病原菌に対する免疫が正常に機能せず、風邪でも容易に肺炎を併発するなど重症感染症にかかる。これまで国内では、1歳前に同感染症にかかり、骨髄移植などを受けないと死に至る症例が報告されていた。5万~10万人に1人が発症するとされ、過去に約20例の報告がある。
 診断した金兼弘和・同病院小児科講師によると、欧米の研究では、1歳未満で重症感染症にかかる早発型が欠損症の85%を占め、遅発型は15%。遅発型は、症状が比較的軽い気道感染症などで、抗菌薬などで治療ができるため、見逃されてきた可能性もあるという。同病院は今回の症例を8月に東京で開かれる日本小児科学会で発表する予定。

4.埼玉医大、ES細胞で多能性維持の仕組み発見 がん化回避に期待
日経産業新聞社2011年7月12日

埼玉医科大学の奥田晶彦教授らは、胚性幹細胞(ES細胞)で特定のがん関連遺伝子が働かなくても、様々な細胞に分化できる能力を保てることを突き止めた。細胞培養の条件を工夫すればよいという。この遺伝子は、新型万能細胞(iPS細胞)をがん化させる危険性が指摘されている。万能細胞の医療応用時の安全性向上などに役立つ可能性がある。
 成果は米科学誌「セル・ステムセル」(電子版)に掲載された。ES細胞やiPS細胞の特徴である多能性の維持には、c―Mycというがん関連遺伝子の働きが不可欠と考えられてきた。

5.皮膚疾患の小型治療器、渋谷工業など開発
日本経済新聞社2011年7月12日

渋谷工業は皮膚治療が専門の名古屋市立大学の森田明理教授と共同で、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患の小型治療器を開発した。医療機器の商社などを通じ、17日に発売する。人体への影響が少ない波長の紫外線を当てる仕組みで、患部が狭い患者の治療に向く。1台1.5キログラムで携帯できるため、往診にも利用できる。
 新製品「TARNAB(ターナブ)」は手で機器を握りやすくするためドーナツ状にした。紫外線の光を出す部分の面積は16平方センチメートル。皮膚の敏感さは個人差があるため、光を当てる時間は1~120秒の間で調整できる。価格は1台400万円。初年度に100台の販売を目指す。
 すでに薬事法で定められた登録認証機関から医療機器の認証を取得した。厚生労働省から保険の適用を受けられるよう申請済みで、最短で8月上旬には認められる見通しだという。
 これまでの治療器の多くは半身や全身に光を当てる大型の機器が主流で、持ち運びが難しかった。患部が狭い場合には、患部以外を黒い布で覆い、光を遮るなどの工夫が必要だったという。

6.「トラウマ」の一端解明 恐怖が神経細胞のつながり変える
日本経済新聞社2011年7月12日

横浜市立大学の高橋琢哉教授らは、強い恐怖や嫌悪など「トラウマ」となる記憶ができる仕組みの一端を解明した。怖い体験をすると脳の海馬という部分で神経細胞のつながりが強化され、記憶がつくられることをラットで確認した。心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの研究に役立つ成果。米科学アカデミー紀要(電子版)に12日掲載される。
 ラットを実験用の箱に入れて特定の場所に来たときに電気ショックを与えると、恐怖の体験が脳に記憶されラットは同じ場所に近づかなくなる。この記憶には海馬の神経細胞が関与しているが、詳しい仕組みは分かっていなかった。
 高橋教授らは海馬の神経細胞どうしがつながる「シナプス」の部分に注目、恐怖が記憶される際の変化を調べた。恐怖体験後にシナプス表面で情報の伝達に関わる「AMPA受容体」というたんぱく質が増え、強く信号が伝わるように変化していた。AMPA受容体がシナプス表面にできないようにしたラットでは恐怖体験の記憶がつくられなくなり、再び電気ショックのある場所に近づいていくことも確かめた。
 強いトラウマとなるような記憶は人間ではPTSDや対人恐怖症などを引き起こす。仕組みの解明は治療法の開発につながる可能性がある。

7.全壊した福島の保科病院、破産寸前から再生までの軌跡
Nikkei Business2011年7月12日

7月11日、東日本大震災で全壊し休業していた福島県内の病院が新たなスタートをきった。移転してプレハブの仮設建物を建て、外来・入院患者の受け入れを始めたのだ。被災後4カ月で再生への第一歩を踏み出せた原動力は、地元の大手民間病院による積極的な支援だ。

南東北新生病院はプレハブ建て(民家の後ろに見える白い建物)で再スタート
 「理事長になって、最初の仕事が職員全員の解雇。悔しかった。潔く破産の手続きを取ろうかと考えた」。7月11日に開院した南東北新生病院(福島県郡山市)の院長、松本秀一氏は、9日に行われた開院記念式典でこう語った。
 松本氏は、東日本大震災の当日、郡山市中心部にある医療法人保科病院で院長を務めていた。65年の歴史と伝統を持つ同病院は、主に慢性疾患の高齢者を受け入れる中規模の病院として、地域医療の一翼を担っていた。それが震度6弱の地震に見舞われて建物が使えなくなり、休業に追い込まれた。郡山市による応急危険度判定の結果は、建物上部が倒壊する恐れのある「危険」だった。

建物が使えなくなった保科病院は、廃止の瀬戸際にあった
 松本氏らは復旧の道を探ったが、結局、自立再建は断念せざるを得なかった。
 ところが、これまで患者を紹介してくれていた、同じ郡山市の民間病院、南東北グループにあいさつに行ったとき、思わぬ提案を受けた。同グループが経営する総合南東北病院の北側の土地に、仮設の病院を建てて保科病院を再建してはどうかというのだ。南東北グループは、日本で数えるほどしかない陽子線によるがん治療を手がけるなど、積極的に事業を展開している民間病院として知られている
「2年以内に免震構造の新病院を」
 郡山市では、東日本大震災の影響で別の大手民間病院の病棟も使えなくなっていた。そこへ、福島第1原発の事故が加わり、沿岸部から患者が押し寄せ、どの病院も入院患者の受け入れに苦労していた。
 その上、郡山市には保科病院のような慢性疾患の患者を対象とした療養型の病院は少なかった。その一つがなくなれば、総合南東北病院のような救急患者などを対象とする病院にも高齢患者などが殺到、救急医療に支障が生じる怖れがあった。保科病院の存廃は、南東北グループにとっても地域医療全体にとっても"死活問題"だったのだ。

南東北新生病院の病室。全部で156床のベッドを持ち、内科、循環器内科、消火器内科、呼吸器内科を診療科目に掲げる
 松本氏は、その後1週間考え抜いたが、南東北グループがヒト、モノ、カネにわたる全面的な支援を申し出たことを受けて、同グループの傘下に入り、再出発することを決意した。そして2カ月ほどの突貫工事で開院にこぎつけたわけだ。
 もちろん、これは再生への第一歩に過ぎない。仮設病院は2年間しか使用できないため、その間に新病院の建設場所の決定や設計・工事を行わなければならないからだ。
 開院式であいさつした南東北グループ理事長の渡邉一夫氏は、「郡山には、療養型を中心とする病院は少ないから、保科病院はぜひ残したかった。2年以内に立派な新病院を建設したい。コストが2割増しになってもできれば免震構造にする」と意欲を見せた。
 震災で大きな被害を受けた宮城、岩手、福島の3県のうち、福島県は、民間の大病院が多いという全国的にも特徴のある地域だ。病院を建設する財政的な余裕がない自治体が多いことを踏まえ、かつて、県が病院を経営するための財団法人設立を積極的に認めたからだ。財団法人の病院であれば法人税などが免除され、その分、設備投資に資金を回すことができ、事業を拡大しやすい。
 こうして成長した民間病院が地域医療の中核を担っていたことが、4カ月という短期間で、被災した病院の再スタートを可能にした大きな要因だとみていいだろう。
 開院初日には、旧保科病院のかかりつけ患者を中心に、午前中だけで20人ほどの外来患者が訪れたという。

8.東京で在宅専門診療所を経営していますが、被災地石巻でも開業します
被災した開業医が「再開は無理」と勤務医になる中、医療提供体制整備目指す
祐ホームクリニック院長 武藤真祐
日経メディカル2011年7月12日


不安にタリン

私が、東京・文京区に在宅専門の診療所を開設したのは、2010年1月のことです。以来約1年半で、約540人の患者さんを診てきました。「医療のみならず、患者さんの生活全体を支えたい」という将来ビジョンを職員と共有し、真摯に患者さんと御家族に向き合い、地域の訪問看護師、ケアマネジャーとともに活動した結果、地域から支持と期待をいただけるまで成長したことは、大変ありがたいことと思っています。
 このまま、この地でよりよい在宅専門診療所を追求していくつもりでしたが、その考えは3月11日の大震災で、大きく変えざるを得なくなりました。震災直後は自らの責務を果たすべく、在宅患者さんへの医療継続とスタッフの安全確保に奔走していましたが、4月から遅ればせながら、「被災地に対して何ができるだろうか」と、何度か宮城県石巻市に入りました。
 4月には物資や人的援助は概ね充足している状態でしたが、5月に入ると少しずつ支援が引き上げられていくのが分かりました。5月に入っても、全国からの物資は避難所に積み上げられているものの、避難所におられる方々の心は「生きていてよかった」から「これからどうなるのだろう」との不安に変わっているようでした。
 特に高齢者は、ADLや認知機能の低下が目立ちました。避難所ならばそのような方々にも目が届きますが、仮設住宅に移ったときには、見逃されてしまう恐れがあります。一方、秋には、体育館型避難所は寒くなり、冬を越すのは到底不可能でしょうから、これらの高齢者の方々は避難所を出ざるを得ません。となれば、自立生活が難しい高齢者の方々への支援が不可欠です。そこで、「1戸1戸に目が届く在宅医療・在宅介護が、高齢者支援の有力な柱になりえるのではないか」「短期的な支援活動から、地元自身が自立し継続していける仕組みづくりへの転換が必要だ」との思いに至ったのです。
 「在宅医療を担う被災医師の支援」。これが当初、私が考えた被災地支援でした。そして私は幾人かの被災された開業医の先生方にお会いしたのですが、ある先生は建物もカルテも完全に流され、「再開は無理だ」と、早々に勤務医の道を選ばれていました。またある先生は、診療所の1階部分を埋めた瓦礫の山から患者のカルテを掘り出し、1冊ずつ泥をこそぎ取っては干し、何とか再開に向け頑張っておられましたが、その日々が3カ月を過ぎた頃、ついに「もうだめだ」と、再開を断念されました。「この瓦礫の中での3カ月の生活に、心が折れてしまった」。そうおっしゃり、石巻から去って勤務医の道を選ばれたのです。
 大変な思いをされた先生方にとって、「またゼロから開業する」という道は、並大抵の決意では選べません。しかし今、地元には在宅医療が必要とされているのです。そこで私は、自分で石巻市に開業することにしました。とにかく、まず必要なものを用意し、その先はいずれ、地元の先生に引き継がせていただこう。そう考えたのです。
土地は既に200坪借り、開業に向け着工しています。9月1日には診療を開始する予定です。24時間型の在宅専門診療所の予定ですが、地域のニーズに併せて、こころのケアの拠点の設置も予定しています。そうして現地で診療活動を行いながら、診療所を譲れる石巻の先生を探し、短ければ半年、長ければ1年で院長職をお任せしたいと思っています。
石巻での開業の背景にあったIHLの仲間たち
 東京での診療も担いながら、遠く離れた石巻に24時間型の診療所を開業するのは大変です。正直、迷いました。ですが、私が主宰している勉強会のメンバーから「やるべきと思うならば、自らがやるべき」と後押しされ、気持ちが固まったのです。
 この勉強会について少し触れさせてください。これは、ヘルスケアを取り巻く課題を解決に導くリーダーを育成するために、2009年に立ち上げたNPOで「ヘルスケアリーダーシップ研究会(IHL)」といいます。日本の医療をよくしようと思っている人たちがその思いをさらに強くし、さらには互いに切磋琢磨して自らが鍛えられるような真剣勝負の場を提供したいと考え、月に1度、一流の講師陣を招き、議論する場を提供してきました。
 当初は、医師をはじめとした医療関係者が多かったのですが、2010年は、金融系企業や外務省など、医療従事者ではない人たちが半数以上を占めました。これは大正解でした。ともすれば医師は自分の立場からのみの視野で語りがちですが、より多面的で、かつ多くの医師にとって馴染みが薄いマネジメントスキルを持ち合わせている人との議論の場を持つことで、お互いの世界が交じり合い、新たな視点を学ぶ貴重な場になったと自負しています。
 例えば医師は、「日本の医療の最大の課題は、病院の医師の過重労働だ」「医局制度がおかしい」と声高に叫びます。ですがその結論に至る論理展開が弱く、仮に解が正しい方向であったとしても、それが人々の共感を集め社会を動かしていくにはなかなか至らないのが現実です。一般企業に勤務する人の多くは、事実を捉え、論理的に解に行きつく思考能力、そしてそれを人に説明するスキルを叩き込まれています。ところが漠然と「こうした方が日本の医療はより良くなる」との説明にとどまる医師は行き詰り、「ただ僕はこう思う」で終わってしまうのです。医師は優秀な人たちなのですから、もっと自分の視野と可能性を拡げられるのではないでしょうか。
 IHLのメンバーは、医療に対する強い問題意識と変革のための高い行動意欲を持ち、私がやりたいことや強み、弱みをよく分かってくれていますから、石巻での開業についても安心して相談できたのだと思います。そして、本当に応援してくれています。
 2011年のIHLは9月からスタートする予定です。今年もよりパワーアップして、多くの方々の参加をお待ちしています。興味のある方は、まずは7月16日に行うIHL2011説明会・公開セミナーにお申し込みください。日経メディカルオンラインをご覧になった方は直前までお申し込みできます。
むとうしんすけ氏○1996年東京大学医学部卒業、2002年同大大学院医学系研究科博士課程修了。東京大学医学部附属病院、三井記念病院、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2010年1月より現職。 内閣官房IT戦略本部 医療分野の取組みに関するタスクフォース構成員、経済産業省地域新成長産業創出促進事業ソーシャルビジネス推進研究会委員等公職を歴任。

9.支援医師を被災地に送り出すための裏方仕事
井垣敦(日本プライマリ・ケア連合学会事務局職員、PCAT東京本部担当) 
日経メディカル2011年7月12日

東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 私は日本プライマリ・ケア連合学会事務局職員の井垣敦と申します。PCATで"裏方仕事"全般を担当しております。今年3月に当学会に転職して来たのですが、赴任後すぐの週末に、東日本大震災が発生しました。3月13日には当学会に「東日本大震災支援プロジェクト対策本部」(PCAT東京本部)が立ち上がり、私はその翌日から、専従職員として東京本部に詰めることになりました。
 私は医療従事者ではありませんので、御茶ノ水のPCAT東京本部で、被災地入りする医師の方々のサポートをしています。例えば、移動手段や携行物品の確保、現地からのリクエストへの対応、現地入りする方々への事前研修の運営などです。このほか、広報業務の一部や、全体の予算管理なども担当しています。
 PCATは数年にわたる長期的な支援を掲げています。今後、ここ「PCAT便り」で、様々な情報やメッセージを息長く発信していきたいと思いますので、よろしくお願いします。今日は、本部運営の担当者として、医療支援チームを被災地に派遣するために、どんな準備や後方支援が必要か、ということをお話したいと思います。
一人を送り出すのにこんなに骨が折れるとは・・・
 プロジェクトが発足した震災直後、支援医師の方々を被災地に派遣するには、問題が本当に山積みでした。特にネックだったのは、交通手段と食糧の確保、つまりロジスティクス面です。
 気仙沼はPCATの支援する地域の一つですが、東北自動車道の復旧前は、空路で山形空港まで行き、そこで何とか確保した車で200キロメートル余りを移動していました。食料は買い占め騒ぎがあったためか東京でも品薄で、事務局スタッフが周辺のコンビニやスーパーを駆け回ってもらってようやく1週間分を確保し、お持ちいただきました。
 東北自動車道の開通後は、乗用車と緊急車両通行許可証を確保し、東京本部と現地の支援活動拠点3カ所(岩手県藤沢町ハブ、宮城県涌谷町ハブ、福島県天栄村ハブ)との往復ができる体制を作り、これをベースに支援医師の移動スケジュールを組みました。帰路については、現地と連絡をとりながら、最新の状況に応じてルートを決めました。
 それにしても当初は、ガソリン携行缶やスタッドレスタイヤなど、必要不可欠な物資のほとんどが、売り切れや入荷日未定でした。レンタカーを借りるときも、行き先が「東北方面」だと言うと、現地の混乱を防ぐためなのか、貸してもらえないことがありました。最終的には医師の方々のお知り合いや、協力を申し出ていただいた方々のおかげで、さまざまな物品を確保できたのですが、これほどまでに困難な状況になるとは予想もしていませんでした。
 幸い4月中旬には、仙台まで長距離バスの運行が始まったので、バスを乗り継いで行けるようになりました。現在は、さらに東北新幹線が開通していますので、短時間で現地入りできるようになっています。
派遣医師のスケジュール調整に手間取る
 プライマリ・ケア連合学会としてこういった活動をするのは初めてのことで、運営面でどのような問題が発生し、どう対処するのか、というノウハウは全くありませんでした。そのため、さまざまな問題への対応がどうしても後手に回ってしまいました。
 活動当初は、「現地に行きたいので派遣登録をしたが、未だにPCAT本部から連絡が来ない、用意はできているのですぐにでも行かせてほしい」という問い合わせを多くいただき、大変ご迷惑をおかけしました。派遣募集を始めた頃は、現地入りされている方は3~4人だったにもかかわらず、派遣登録される方の数は、日に20~30人のペースで増え続けている状態でしたので、本部の対応が追い付かず、このような事態になってしまいました。
 もう一つ頭を痛めたのが、引き継ぎ問題でした。1週間ほどで支援メンバーは交代するのですが、次のチームの到着前に、前のチームが帰路についてしまう(帰らざるを得なくなってしまう)事態が発生し、「これでは引き継ぎができない」と、被災地の支援先から指摘がありました。
 支援メンバーの日程を数週間先まで調整した後のことで、日程を今さら変更することもできず、往復の行程を工夫して、短時間でも引き継ぎの時間を捻出するしかありませんでした。当時、派遣医師の方々の標準的なスケジュールは、1日目に東京で派遣前研修を受けていただいて、その日は東京泊、翌朝の高速バスで出発して夕方に現地入り、3日目から活動開始、という流れでした。
 しかし、引き継ぎ時間を確保するため、派遣前研修のその場で「研修終了後、適宜ご夕食をおとりいただき、深夜バスで出発していただきます」とお願いをし、翌朝、現地に着くと、午後までの数時間で顔合わせと引き継ぎをしていただき、そのまま活動開始という強行スケジュールでお願いしたこともありました。
 現在は被災地に長期滞在していただいている医療者や事務スタッフが増えたうえ、1回の支援期間が1週間というのではなく、比較的長期にわたって支援される方々が増えましたので、以前より無理なく引き継ぎができる体制となっています。
現地入りに欠かせないもの
 現地入りする方々に、名刺や名札、連絡先一覧を作ってお渡しすることも大切です。また、支援に入る方々だけでなくそのご家族などの緊急連絡先を把握しておくことも大変重要でした。最近は余震もかなり減りましたが、支援活動中に大規模な余震があった場合には、速やかに東京本部で現地の先生方に安全確認をとり、ご家族に無事を伝える必要があるからです。
 被災地からのリクエストで物品を送ることもありました。例えば、被災地の先生から「至急、耳栓を届けてくれ」という連絡が来ました。避難所では大勢の方が共同生活をされていますので、咳や物音でよく眠れない、と訴える方が多かったのです。このときは、やはり東京本部近くのドラッグストアを回って相当数の耳栓を買い集め、現地に送りました。送るといっても、当時宅配サービスは完全復旧していませんでしたので、次に支援に行かれる先生の移動に合わせ、車で運んでもらいました。
 東日本大震災から3カ月以上が経過した現在は、交通や輸送などのインフラの多くが使えるようになり、物資の手配でも、震災直後のような苦労はありません。今の私の仕事は、PCATプロジェクト全体の予算管理と、各業務の進行管理です。
 どの業務も初めての経験で、思うようなスピードが出ないのですが、日々勉強をさせていただいています。次回からは、事務局担当として、日々現地やプロジェクト内で起きていることを少しずつお伝えしていきます。
 PCATのこれまでの支援活動や、被災地への派遣につきましての詳細は、下記のPCAT Webサイトをご覧ください。

10.震災後に高齢患者が急増した宮城県気仙沼市
地元の病医院は70%復旧、在宅患者の引き継ぎが難航
日経メディカル2011年7月12日


ロナルドharbutの痛み

宮城県気仙沼市では、病医院の再開や避難所の閉鎖、交通機関の復旧が進み、6月末に医療支援チームが撤退した。
 同市は、津波と大規模な火災で港を中心に大きな被害を受けた。人口約7万2000人に対して死者・行方不明者数は約1500人。約1万戸の建築物が全壊または半壊し、一時は約2万人が約100カ所の避難所で避難生活を送っていた。
 市内にある5カ所の病院のうち3カ所と、29カ所の診療所のうち19カ所は、建物の倒壊や浸水などで診療不能に陥った。幸い、同市の基幹病院である気仙沼市立病院(一般451床)は高台にあったため被災を免れ、診療を継続できたが、市全体の診療機能は大幅に低下。多いときには、30の医療支援チームが全国から駆け付け、大規模な避難所に救護所を設けて24時間体制で避難者の医療に当たったり、小規模な避難所などを毎日巡回診療したりした。
取り残される在宅患者
 しかし6月までに、診療を休止していた2カ所の病院と15カ所の診療所が診療を再開。「大半が仮設診療所などを新設し、診療機能は震災前の70%程度にまで復旧した」(気仙沼市医師会の担当者)。仮設住宅への入居も始まり、避難者は6月半ばで約2500人、避難所も約50カ所に減少。市内には定期バスのほか、医療機関まで患者を届ける送迎車を市が手配し、交通手段がなく、医療機関を受診できない避難者も少なくなった。7月以降は、避難所や仮設住宅で生活する被災者も、地元の病院や診療所の外来を受診することになる。
 とはいえ、課題も残る。震災前に比べて大幅に増加した在宅患者の受け皿が不足しているのだ。震災前、気仙沼湾に浮かぶ大島を除く市内では、5カ所の診療所が全体で50人弱の訪問診療を手掛けていたが、人口の割に在宅患者数は極めて少なかった。しかし震災後、被災を免れて自宅で動けずにADLが低下したり、栄養状態が悪化して褥瘡ができたりした高齢患者が急増。気仙沼市立病院の医師や従来から訪問診療を行っていた地元開業医、医療支援に訪れた医師らが協力して、急きょ気仙沼在宅支援プロジェクトが立ち上げられた(5月9日掲載の「【宮城県気仙沼市】在宅医療の取り組み始まる」を参照)。
 地元の保健師や医療支援チームなどが市内を回って在宅患者を掘り起こした。同プロジェクトではこれまで延べ300人ほどに訪問診療を提供してきた。手厚い診療で回復した患者もいるほか、状態が落ち着いた患者は地元の診療所や訪問看護ステーションに引き継ぎ、同プロジェクトが常時フォローする在宅患者数は、ピーク時の約80人から、現在は三十数人に減少している。
 津波で医院を流されながら、同プロジェクトに関わってきた村岡外科クリニック院長の村岡正朗氏は、4月末から新たな場所に仮の医院を構え、訪問診療を再開。現在、30人ほどの在宅患者を診ている。村岡氏は「せっかく在宅医療が広まり始めたので、やせ我慢してでも残りの患者を引き継ぎたい」と話すものの、他の診療所は外来診療で手いっぱいの状況だ。村岡氏自身も年内にも診療所を新設し、外来診療を再開する予定。同プロジェクトが掘り起こした患者を、全て地元で引き継げるかどうかは不透明だ。
 同プロジェクトでは7月末まで医療支援チームを現地に送る準備を整えているが、いつまで支援を続けるかは未定。同プロジェクトの立ち上げに携わったたんぽぽクリニック(愛媛県松山市)理事長の永井康徳氏は、「受け皿さえあれば、在宅患者をそのまま地元の医療機関に引き継いでもらいたいのだが」と漏らす。
 慢性期病床や介護施設が不足していることも課題になっている。元々市内には療養病床がなかった。その上、2カ所の老人保健施設と1カ所の特別養護老人ホームが被災。急性期病院に急性期を過ぎた患者が長期間入院すれば、病院の本来の機能に影響が及ぶことが懸念される。だからといって在宅医療や在宅介護につなごうにも、前述のように引受先は多くない。
 震災前、気仙沼市立病院で退院調整が必要だった患者は常時35人程度だったが、震災後は60人前後に増加。退院調整にかかる期間も延びる傾向にあるという。同病院副院長で、昨年同病院に発足した地域医療連携室長も務める横田憲一氏は「帰る家を失ったり、家族が亡くなったりした患者もおり、震災後は退院調整が難しい患者が増えている」と打ち明ける。
 地域医療連携室は現在、市外の介護施設も含めて退院先を探すなど、様々な対策を講じている。横田氏は、「長期的には地域に在宅医療や在宅介護などを根付かせて、病院は急性期に専念できるような機能分担を目指したい」と話す。

11.SAH好発部位、コイルは34% 「どちらとも言えない」が44%と高率
M3 2011年7月12日

 臨床賛否両論「クモ膜下出血ICPC、Acomはコイル?」で、クモ膜下出血(SAH)の好発部位の治療方針を聞いたところ、コイル塞栓術による治療を選択した医師は約3割となった。好発部位として、ICPC(内頸動脈後交通動脈分岐部)とAcom(前交通動脈)を挙げて、開頭によるクリッピング術か、血管内治療によるコイル塞栓術か聞いた。
 回答者数は763人(調査期間は2011年2月24日から3月9日)。34%が「コイル塞栓術を優先」と回答した。22%が「クリッピング術を優先 」と回答。「どちらとも言えない」と回答した医師が44%と多かった。

約3割がコイルの治療を選択
コイルの予後良好
 コイル塞栓術を優先的に考える小倉記念病院(福岡県)脳神経外科部長の中原一郎氏は、34%というコイル優先の回答率が高いと見るか、低いと見るかの解釈は難しいととらえる。その上で、投票結果の背景について、「現状では血管内治療による救急対応ができ、かつクモ膜下出血の急性期管理が適切にできる施設が限れられている点に大きな問題があると思われる。脳神経外科専門医が8000人規模であるのに対して、脳血管内治療専門医は600人規模で、まだ破裂脳動脈瘤に対して日本中どこででも血管内治療による対応ができる現状ではない。国内でも地域格差が存在することも事実」と説明する。
 中原氏は、「私自身はクリッピング術も多数手がけてきたので、ほとんどの症例はクリップでも対応できる。その前提で考えると、コイルによる治療が可能な症例を、適切な術者が適切に治療し、適切に管理できた場合には、全体として血管内治療の方が予後はやや良いのは間違いなさそうだ」と話す。
 今後、治療成績の向上に向けて努力を重ねる必要があると、中原氏は強調する。「(破裂動脈瘤に対するクリッピング術とコイル塞栓術の治療成績を比較した臨床試験)ISAT2002は単なるきっかけで、その後に多数の研究が行われ、日本国内でも数年間にわたるRESAT研究の積み重ねやPRESAT研究の結果がコイルの有用性を示している。私たちは、目の前の救急患者に対応するとともに、クモ膜下出血の予後改善を目指し絶えず努力していかねばならない。そのための議論や研究は、10年後、20年後の治療成績の向上に必ずつながると確信している」と中原氏は言う。
千差万別の判断
 クリッピング術を優先的に考える杏林大学脳神経外科教授の塩川芳昭氏は、回答保留者が多い点に着目する。「『クモ膜下出血ICPC、Acomはコイル? クリッピング?』の見出しを、『クモ膜下出血で発症した通常難度のICPC、Acomの治療選択を尋ねた質問』と理解すると、一つは、塞栓術を第一選択とした回答が開頭術を上回ったと判断できる。さらに、なお半分弱の医師がケースバイケースとも取れる回答を示したと判断できる」と言う。
 その上で、「実際の日本国内における治療状況を見ると、同部の動脈瘤に対しては開頭術がかなり多い。現状を踏まえて、血管内治療への期待を込めた回答行動を反映したのかもしれない。脳動脈瘤は同じ場所でも千差万別で回答保留者が多かったと考えられる。ICPCとAcomを別に質問する、あるいは未破裂の場合で同じ質問をすると、回答の分布の背景が推測できた可能性はある」と塩川氏は分析する。
 「注意しておくべき点は、破裂動脈瘤の治療選択でエビデンスを提供したISAT研究においては、組み入れ基準として『いずれの治療でも可能と現場で判断された症例』だったところ。現場の判断に大きなばらつきのあると指摘されている。今回の質問を回答した母集団にも関心が払われるべきであろう」と、どの治療で対応可能かの医師個人のスキルや施設の要因などで判断が左右される課題も指摘した。

12.脳出血治療中の患者にセレコックスを処方してヒヤリ!
日経メディカル2011年7月12日

<処方せんの具体的内容は>
60歳代男性
<処方1> 大学病院の整形外科
セレコックス錠100mg  2錠  1日2回  朝夕食後 14日分
ムコスタ錠100mg  2錠  1日2回  朝夕食後 14日分
セルタッチパップ70(70mg)   6枚/袋  3袋  痛むとき膝に貼付
<何が起こりましたか?>
・脳出血治療中の患者にセレコックス<セレコキシブ>を処方してしまった。
<どのような過程で起こりましたか?>
・患者は膝の痛みのため当該病院を受診したため、<処方1>を処方した。
・その後、かかりつけ薬局から連絡があり、「当該患者は以前脳出血で入院手術しており、現在治療中です。セレコックスの医薬品添付文書に警告として『シクロオキシゲナーゼ(COX)-2選択的阻害剤等の投与により、心筋梗塞、脳卒中等の重篤で場合によっては致命的な心血管系血栓塞栓性事象のリスクを増大させる可能性がある』と記載されています。警告で脳卒中(脳出血を含む)が発症する可能性が示されているため、なんらかの脳血管障害を有している場合には、セレコックスの併用は避けた方が良いと思われますが、いかが致しましょうか?」との疑義照会をうけた。
<どのような状態(結果)になりましたか>
・セレコックスおよびムコスタ<レバミピド>の処方を中止し、セルタッチ<フェルビナク>のみで様子をみることとした。
<処方2> 大学病院の整形外科
セルタッチパップ70(70mg)   6枚/袋  3袋 痛むとき膝に貼付
<なぜ起こったのでしょうか?>
・セレコックスの作用機序、警告の内容などを十分に認識できていなかったため、診察時に心筋梗塞、脳卒中の既往の有無を確認できなかった。また、患者から有用な情報を得るための適切な質問を投げかけられなかった。
・薬剤師によると、介護者である患者の妻は、頭と膝の問題は別個のものと捉えていたため、脳出血で入院したことなど無関係だと考え、自発的に病歴を話さなかったということであった。
<二度と起こさないために今後どうするか?>
・警告などが発せられている薬剤に関してはその内容、作用機序を十分に習得しておく必要があると再認識した。
・患部が違えば無関係だと考える患者もいるため、患者からの発言を待つだけでなく処方する前に、病態に関する各薬剤毎に必要な質問事項について具体的な聞き方をするように心がけたい(例:セレコックスであれば、まず警告内容に準じた質問をする。「心臓の手術や脳の障害で入院したことはないか?」など)。

13.携帯電話の発癌リスク、エビデンスは限定的
「グループ2B」に分類したIARCの研究者らによる報告(Lancet Oncology誌から)
日経メディカル2011年7月12日


産後のうつ病と看護理論を投稿

 WHOの外部組織であるフランスの国際癌研究機関(IARC)は先頃、携帯電話使用と脳腫瘍の関係を調べた研究で得られた限定的なエビデンスに基づいて、無線周波電磁界(RF-EMF)曝露の発癌リスクをIARCの発癌性分類のグループ2B(Possibly carcinogenic to humans:人に対して発癌性がある可能性がある)に分類した。その経緯の概要を、IARCのRobert Baan氏らがLancet Oncology誌2011年7月号に発表した。
 2011年5月、14カ国から30人の科学者たちがIARCに集まり、RF-EMF(周波数30kHz~300GHz)の発癌性を評価した。携帯電話以外の職業的なRF-EMF曝露などについても幅広く検討を進めた結果、携帯電話については癌との関係を示したエビデンスは限定的で、それ以外のRF-EMFと癌の関係については、現時点では十分な情報はないとの判断を、ワーキンググループのメンバーは下した。
 RF-EMFへの曝露が発生する人々は、携帯電話、コードレスフォン、Bluetooth機器、アマチュア無線機器などを使用する個人(個人曝露)、高周波の誘導加熱器や誘電加熱器、パルスレーダー装置を使用する職場で働く人々(職業曝露)、携帯電話基地局、放送アンテナ、医療機器などに近寄った人々(環境曝露)の3グループに分類できる。
 個人曝露の場合は、携帯電話のような発生源を体のすぐ近くで使用するため、職業曝露と環境曝露に比べて曝露レベルは高くなりがちだ。個人曝露の場合には、曝露部位も限定される。
 モバイル機器の中では、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)ハンドセットが発する電磁エネルギーが強いことは知られている。GSMは、世界的に第2世代(2G)携帯電話に使用された通信方式だが、日本と韓国では採用されなかった。第3世代(3G)携帯電話には採用されなかったものの、端末が安価であること、改良が進んだことから、いまだ世界では広く使用されている。鉄塔や屋根の上に設置された携帯電話基地局や、テレビ、ラジオの放送アンテナから発せられるRF-EMFに比べGSMのエネルギーは桁違いに大きい。3G携帯と比較すると、GSMのエネルギーは最大で100倍にもなる。なお、Bluetoothハンズフリー機器の場合には、RFエネルギーの出力パワーは携帯電話の100分の1程度といわれている。
 携帯電話を使った音声通話を行った場合に脳に吸収される電波のエネルギー量は、携帯電話のデザインや持ち方、基地局と端末の通信の種類などによって変化する。小児が携帯電話を使用した場合には、脳の電磁界エネルギーの吸収は成人の約2倍、頭骨骨髄での吸収は約10倍との報告がある。一方、ハンズフリーキットを使用すると、脳の曝露レベルは端末を耳に当てる場合の10%以下になる。
 癌とRF-EMFの関係を示す疫学的なエビデンスはこれまで、主に携帯電話とコードレスフォンの影響に焦点を当てて収集されてきた。今回ワーキンググループは、それらのうち、神経膠腫との関係を分析していたコホート研究とケースコントロール研究について分析した。
信頼できる情報を提供していると考えられた研究の1つは多施設ケースコントロール研究であるINTERPHONE研究で、携帯電話と脳腫瘍(神経膠腫、聴神経腫、髄膜腫)の関係を調べた最大規模の研究だが、プール解析の結果、携帯電話使用による神経膠腫リスクの上昇は示されなかった。累積通話時間の増加と神経膠腫の関係を調べたところ、年間通話時間が1640時間(1日に4.5時間)を超えるグループにのみ神経膠腫リスクの有意な上昇が見られた。
 また、通話時に主に端末を当てる側の方が神経膠腫リスクが高いことを示唆するデータや、診断から7年以上前の期間の曝露量が多いと神経膠腫のオッズ比は上昇するが、診断前7年間の曝露量と神経膠腫リスクの間には有意な関係は認められないことを示したデータも得られている。
 次に、スウェーデンのグループが2011年にInternational Journal of Oncology誌(38:1465-74)に報告したケースコントロール研究は、携帯電話とコードレスフォンと脳腫瘍の関係を調べており、1年超にわたって携帯電話を使用していたグループの神経膠腫のオッズ比は1.3(95%信頼区間1.1-1.6)と有意な上昇を示した。初回使用からの時間、通話時間の合計とオッズ比の間には有意な関係が認められた。累積使用時間が2000時間を超えたグループのオッズ比は3.2(2.0-5.1)になった。通話時に主に端末を当てる側の神経膠腫リスクが高いことを示すデータも得られた。コードレスフォンについても同様の結果が得られている。
 聴神経腫については、日本の研究グループがケースコントロール研究の結果として、1日20分を超える通話によるリスク上昇を報告している(Bioelectromagnetics誌 2011;32:85-93)。
 INTERPHONE研究やスウェーデンで行われた研究も、他の研究と同様に想起バイアスや選択バイアスの影響を否定できていない。しかし、バイアスのみによってこうした結果になるとも考えにくい。ワーキンググループは、人に対するRF-EMFの発癌性については、神経膠腫と聴神経腫について得られたデータに基づいて、限られたエビデンスは存在すると結論した。ただしメンバーの一部は、研究間で結果が一致しないこと、曝露反応関係がみられない研究が少なくないこと、神経膠腫の罹患率と携帯電話の普及率の間に相関関係がみられないことなどに基づいて、エビデンスは十分ではないとの考えを示した。
 一方、髄膜腫、耳下腺癌、白血病、リンパ腫、その他の癌と携帯電話使用の関係については十分なエビデンスはなく、職業的な曝露と様々な癌の間の関係についても現時点で利用できるエビデンスは結論を導き出すためには十分ではないと判断している。
 ワーキンググループは、齧歯類モデルを対象に携帯電話の使用を想定してRF-EMSの発癌性を調べた40を超える研究のレビューも行ったが、やはり限定的なエビデンスしか存在しないことを確認した。
 さらにRF-EMFが癌化を引き起こすと仮定して作用機序を調べた数多くの研究の評価も行ったが、それらの結果は発癌機序について脆弱なエビデンスを提供しているに過ぎなかった。
 ワーキンググループは、人と動物モデルを用いた研究で得られた限定的なエビデンスに基づいて、RF-EMFをIARCの発癌性分類におけるグループ2B(Possibly carcinogenic to humans:人に対して発癌性がある可能性がある)に分類した。評価過程の詳細は、IARC Monographs誌102巻に報告される予定だ。
 原題は「Carcinogenicity of radiofrequency electromagnetic fields」

14.高用量スタチン服用者は糖尿病発症リスクが12%上昇
メタ分析による中用量スタチンとの比較、心血管イベントは減少(JAMA誌から)
日経メディカル2011年7月12日

高用量のスタチンを投与された患者では、中用量のスタチンが投与された患者に比べ、心血管イベントは減るものの、糖尿病発症リスクが有意に高いことが、5件の無作為化試験を対象としたメタ分析で明らかになった。英Glasgow大学のDavid Preiss氏らが、JAMA誌2011年6月22日/29日号に報告した。
 スタチンと糖尿病リスクの関係は、先に行われたメタ分析で示唆されていたが、分析対象となった一部の研究の質は高くなかった。そこで著者らは、より質の高いメタ分析を行って、高用量スタチンが糖尿病リスク上昇に関係するかどうかを調べ、さらに糖尿病リスク上昇が特定の患者集団にのみ生じるのかどうかも明らかにしようと考えた。
 MEDLINE、EMBASE、コクランセントラルを対象に、1996年1月1日から2011年3月31日までに報告された研究の中で、1000人超の患者を高用量スタチンまたは中用量スタチンに割り付け、1年を超える期間追跡していた無作為化試験を選出した。
 条件を満たしたのは以下の5件の研究だった。
 (1)TNT試験(高用量群:アトルバスタチン80mg、中用量群:アトルバスタチン10mg)
 (2)IDEAL試験(高用量群:アトルバスタチン80mg、中用量群:シンバスタチン20mgまたは40mg)
 (3)A to Z試験(高用量群:シンバスタチン40mgを1カ月投与後80mgに増量、中用量群:偽薬を4カ月投与後シンバスタチン20mgに変更)
 (4)PROVE IT-TIMI 22試験(高用量群:アトルバスタチン80mg、中用量群:プラバスタチン40mg)
 (5)SEARCH試験(高用量群:シンバスタチン80mg、中用量群:シンバスタチン20mg)
 糖尿病ではなかった患者は計3万2752人登録されていた。ベースラインの患者特性、糖尿病を発症した患者の数、主要な心血管イベント(心血管死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術)を経験した患者の数などの情報を抽出した。
 加重平均追跡期間4.9年で、2749人(8.4%)が糖尿病を発症していた。1449人が高用量群、1300人が中用量群で、(中用量群に対する)高用量群の新規発症糖尿病のオッズ比は1.12(95%信頼区間1.04-1.22)となった。1000人・年当たりの罹患率は高用量群が18.9、中用量群は16.9、中用量群と比べた高用量群の糖尿病発症に関する害必要数は498/年だった。研究間に有意な不均質性は認められなかった(カイ2乗値は2.59、P=0.60、I2=0%)
 一方、主要な心血管イベントは6684人(20.4%)に発生していた。高用量群は3134人、中用量群は3550人で、高用量群における主要な心血管イベントのオッズ比は0.84(0.75-0.94)と、高用量スタチンの有効性を示した。1000人・年当たりの罹患率は、高用量群が44.5、中用量群が51.0で、差は6.5になった。心血管イベントに関する治療必要数は155/年となった。研究間には有意な不均質性が認められた(カイ2乗値は15.04、P=0.004、I2=74%)。
 患者を年齢、BMI、空腹時血糖、HDL-コレステロール(HDL-c)、トリグリセリドの値に基づいて層別化し、サブグループ解析を行ったところ、高用量スタチンの心血管イベントリスク低減効果はすべてのサブグループに認められた。
 高用量群群における糖尿病リスク上昇も、患者を年齢、BMI、空腹時血糖、HDL-cで層別化しても一貫して認められた。だが、トリグリセリド値が中央値より低い患者群の糖尿病リスクは、中央値を超えていた患者群に比べ有意に高かった。
 スタチンの種類と糖尿病リスクの関係も調べた。いずれも中用量群との比較で、新規発症糖尿病のオッズ比は、シンバスタチン80mg群が1.13(0.93-1.38)、アトルバスタチン80mg群は1.15(1.03-1.28)、心血管イベント予防効果については、シンバスタチン80mg群のオッズ比は0.95(0.88-1.03)、アトルバスタチン80mg群は0.78(0.73-0.85)となった。
 5件の試験のデータをプール解析した結果、高用量スタチンを用いると、中用量を用いた場合に比べ、心血管イベントは減るものの、糖尿病リスクが上昇することが示された。著者らは、「高用量スタチン使用の際は糖尿病発症への注意を」と呼びかけている。
 原題は「Risk of Incident Diabetes With Intensive-Dose Compared With Moderate-Dose Statin Therapy: A Meta-analysis」

15.看護師が少ないと院内死亡率が高い
【原題】Fewer Nurses = Higher Inpatient Mortality
日経メディカル2011年7月12日

Below-target nurse staffing and high patient turnover are associated independently with risk for in-hospital death.
Anyone who cares for hospitalized patients intuitively understands the correlation between staffing by registered nurses (RNs) and patient outcomes. However, robust studies demonstrating this association are lacking.
Researchers at a large tertiary academic U.S. medical center retrospectively studied approximately 200,000 admissions and 175,000 8-hour nursing shifts in 43 hospital units from 2003 through 2006 (pediatric, labor and delivery, behavioral health, and inpatient rehabilitation units were excluded). RN staffing was within 8 hours of the target level for 84% of shifts. A significant albeit small association (hazard ratio, 1.02) was noted between higher mortality and exposure to unit shifts during which RN staffing was ≧8 hours below target level (essentially, these are shifts in which a unit is short at least 1 nurse). An association between higher mortality and high patient turnover also was significant (HR, 1.04).
COMMENT
In this study, RN staffing below target levels and high patient turnover resulted in modest excess in-hospital mortality. As director of a high-volume cardiac monitoring unit, I believe this study confirms that, to keep patients safe, hospitals must have flexible staffing practices that consistently match staffing to both the unit census and the individual needs of patients.
― Neil H. Winawer, MD, SFHM
Needleman J et al. Nurse staffing and inpatient hospital mortality. N Engl J Med 2011 Mar 17; 364:1037.

16.STEMI患者でDIDO時間が30分超は、30分以下に比べ院内死亡率が約1.6倍に
CareNet2011年7月12日

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のために、別の病院に転送されたST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者で、最初の病院に着いてから他院に向けて出発するまでの時間(door-in to door-out:DIDO)が30分以下の人は、全体の1割強にとどまるが、そうした人のPCI実施までの所要時間は短く、院内死亡率は低率であることが明らかにされた。米国・デューク大学のTracy Y. Wang氏らが、1万5,000人弱について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月22・29日号で発表した。米国病院の約75%は、緊急PCIに対応できないため、STEMI患者の多くが、最初に訪れた病院から他の病院へ転送されているのが現状という。DIDOは新たな臨床パフォーマンスの指標とされ、適切な再灌流治療のためには、DIDO時間30分以下が推奨されている。
DIDO時間中央値は68分、30分以下は11%
研究グループは、ACTION Registry-Get With the Guidelines登録患者で、2007年1月~2010年3月に、STEMIで病院を訪れ、プライマリPCIのために別の298ヵ所の病院に転送された、合わせて1万4,821人について後ろ向きコホート試験を行った。
主要アウトカムは、DIDO時間とそれに関連する因子、来院から初回バルーン拡張までの時間(door-to-balloon:DTB)、補正後院内死亡率であった。
その結果、DIDO時間の中央値は68分(四分位範囲:43~120)だった。また、DIDO時間が30分以下だったのは、1,627人(11%)にとどまった。
DIDO時間が30分超だと、30分以下に比べ院内死亡率が1.56倍に
DIDO時間が30分以下だった人のうち、DTB時間が90分以下だった人の割合は60%(95%信頼区間:57~62)と、DIDO時間が30分超だった人の同13%(同:12~13)に比べ、有意に低率だった(p<0.001)。
また院内死亡率も、DIDO時間が30分以下の人は2.7%(同:1.9~3.5)であったのに対し、同30分超の人は5.9%(同:5.5~6.3)と、有意に高率だった(p<0.001、補正後オッズ比:1.56、95%信頼区間:1.15~2.12)。
DIDO時間が30分超の関連因子は、高齢、女性、時間外の来院、最初の来院が救急車ではないなどであった。

17.ハイリスク中高年男性への肥満手術、死亡リスク減少せず
CareNet2011年7月12日

ハイリスク中高年男性に対して肥満手術を行っても、死亡リスクは減少しないことが明らかにされた。米国・ダラム退役軍人病院のMatthew L. Maciejewski氏らが、退役軍人向け病院のデータベースを用い、肥満手術を受けた850人とそのコントロール群について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月15日号で発表した。これまで、主に若い女性を対象とした、肥満手術と死亡リスクに関するコホート試験はあるが、より高齢の男性に関する研究はほとんど知られていない。
手術群850人とコントール群4万人超について、約7年追跡
研究グループは、退役軍人病院で2000年1月~2006年12月にかけて肥満手術を受けた男性850人と、非手術群4万1,244人について、後ろ向きコホート試験を行った。手術群の平均年齢は49.5(標準偏差:8.3)歳、BMIは平均47.4(同:7.8)だった。コントロール群の平均年齢は54.7(同:10.2)歳、BMIは平均42.0(同:5.0)だった。
追跡期間の平均は6.7年。主要アウトカムは、2008年までの総死亡率だった。
傾向スコアによるマッチング後、手術群で死亡率の低下みられず
その結果、手術群の総死亡率は、1年が1.5%、2年が2.2%、6年が6.8%に対し、非手術群の死亡率はそれぞれ、2.2%、4.6%、15.2%だった。
補正前Cox回帰分析の結果、肥満手術は死亡率の減少につながった(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.51~0.80)。共変量調整を行った後も、肥満手術による死亡率の減少が認められた(ハザード比:0.80、同:0.63~0.995)。
ところが、傾向スコアによるマッチングを行い、手術群847人とコントロール群847人について比較したところ、肥満手術群のコントロール群に対する死亡に関する補正前ハザード比は0.83(同:0.61~1.14)、時間補正後のハザード比は0.94(同:0.64~1.39)と、いずれも有意差は認められなかった。

18.鎌状赤血球症患者の肺高血圧症、カテーテル検査による有病率は6%

文献:Parent F et al.A Hemodynamic Study of Pulmonary Hypertension in Sickle Cell Disease.N Engl J Med 2011; 365:44-53.
 成人鎌状赤血球症患者398人を対象に、肺高血圧症の有病率と特性を前向き試験で調査。心エコー図検査と三尖弁逆流ジェット速度で測定し、ジェット速度2.5m/sec以上の場合は右心カテーテル検査を実施した。ジェット速度2.5m/sec以上での有病率は27%、カテーテル検査による有病率は6%だった。

19.急性心不全患者へのnesiritide、再入院や死亡率を改善せず


文献:O'Connor CM et al.Effect of Nesiritide in Patients with Acute Decompensated Heart Failure.N Engl J Med 2011; 365:32-43.
 急性心不全の入院患者7141人を対象に、標準治療へのnesiritide併用の効果を無作為化プラセボ対照試験で検証。nesiritide群に呼吸困難の改善が見られたが、事前に規定した有意水準を満たさず、30日以内の心不全の再入院と全死因死亡に有意差はなかった。著者らは、nesiritideのルーチン使用は推奨されないと結論した。

20.HIV感染者の潜伏性結核、新規レジメンに優位性なし、南アフリカ調査

文献:Martinson NA et al.New Regimens to Prevent Tuberculosis in Adults with HIV Infection.N Engl J Med 2011; 365:11-20.
 ツベルクリン反応陽性のHIV感染患者1148人を対象に、潜伏性結核に対する3つの新規レジメン(rifapentine+イソニアジド12週間投与群、rifampin+イソニアジド12週間投与群、イソニアジド6年間投与群)の治療効果を無作為化比較試験で検証。いずれも有効であったが、標準治療群に対する優位性は見られなかった。

21.糖尿病診断時の糖尿病性ケトアシドーシス、複数の要因が関係

文献:Usher-Smith JA et al.Factors associated with the presence of diabetic ketoacidosis at diagnosis of diabetes in children and young adults: a systematic review.BMJ 2011; 343:d4092.
 31カ国の2万4000人以上の小児と若年成人を含む46件のコホート研究を対象に、1型糖尿病新規診断時の糖尿病性ケトアシドーシスに関連する要因をシステマティックレビューで検討。リスク増加には若年や健康保険未加入など複数の要因が影響しており、糖尿病の症状発現から糖尿病性ケトアシドーシス発現までの間に介入の余地があることが示された。

22.1型糖尿病へのリアルタイム持続血糖モニター、HbA1c値の低下と関連

文献:Pickup JC et al.Glycaemic control in type 1 diabetes during real time continuous glucose monitoring compared with self monitoring of blood glucose: meta-analysis of randomised controlled trials using individual patient data.BMJ 2011; 343:d3805.
 6件の無作為化対照試験を対象に、1型糖尿病患者における持続血糖モニターの臨床効果をメタアナリシスで検証。持続血糖モニター群(449人)と自己血糖測定群(443人)の比較の結果、持続血糖モニターと糖化ヘモグロビン(HbA1c)値の有意な低下との関連が示された。血糖の曲線下面積を比べると、持続血糖モニター群で低血糖発現率が低かった。

23.Adherence to Angioplasty/Stent Guidelines Lacking: Study
Many heart attack patients may undergo unnecessary, costly procedure, experts warn
HealthDay News2011年7月11日

Many U.S. hospitals don't follow recently revised guidelines for the appropriate use of balloon angioplasty and stenting in patients who have a blocked coronary artery after a heart attack, a new study finds.
A U.S. National Heart, Lung, and Blood Institute study released in 2006, called the Occluded Artery Trial (OAT), found that angioplasty and stenting -- known as percutaneous coronary intervention (PCI) -- had little effect on patients with blocked coronary arteries that were detected more than 24 hours after a heart attack. As a result, the American Heart Association and American College of Cardiology revised their guidelines for PCI in such situations.
In this study, researchers analyzed data from 28,780 patient visits at 896 U.S. hospitals between 2005 and 2008 in order to determine whether clinical practice changed after the release of the study findings and the updated guidelines.
PCI was performed on 11,083 patients before the OAT study was published, 7,838 between the release of the study and guideline changes, and 9,859 after the guidelines were revised, the investigators found.
After they factored in other variables, the study authors found no overall significant decrease in the monthly rate of PCI performed for coronary blockages either after the OAT results were published or after the guidelines were updated.
"In conclusion, among this large cross-section of hospitals in the United States we found only modest evidence that the results of the OAT and its incorporation into major guideline revisions have influenced cardiology and interventional cardiology practice over the subsequent one to two years," wrote Dr. Marc W. Deyell, of the University of British Columbia in Vancouver, Canada, and colleagues.
"Percutaneous coronary intervention of total occlusions identified greater than 24 hours after [heart attack] remains commonplace despite little evidence to support its use in stable patients and new clinical practice guidelines recommending against it," the researchers reported in the July 11 online edition of the journal Archives of Internal Medicine.
The findings mean that many patients may be undergoing an expensive procedure that does not help them, the study authors explained in a journal news release about the report, which is part of the journal's Less Is More series.
A number of factors, including difficulties in changing doctors' and patients' beliefs and behaviors, may play a role in the lack of adherence to the revised guidelines, Dr. Mauro Moscucci, from the University of Miami's Miller School of Medicine, pointed out in a commentary accompanying the study.
The findings add to the spotlight being placed on procedures that increase health care costs without providing a clear benefit to patients, he noted.
"While the debate on health care reform is ongoing, health care expenditures in the United States are continuing to escalate. Thus, we must heed the call to professional responsibility aimed at the elimination of tests and treatments that do not result in any benefit for our patients, and for which the net effects will be added costs, waste and possible harm," Moscucci said.
Commenting on the study, Dr. Barry Kaplan, vice chairman of cardiology at North Shore University Hospital in Manhasset, N.Y., and Long Island Jewish Medical Center in New Hyde Park, N.Y., had this to say: "The guidelines were updated based on the OAT results in December 2007. In all medical fields there is usually a one- to two-year lag between the changes in recommendations by agencies such as AHA and ACC and adoption and acceptance of these guideline changes by practicing physicians. This study examined trends from 2005 to 2008 and may have been done too early in order to capture a change in practice."
In addition, "this study does not account for technological advances in PCI and other cardiac testing that occurred between the time period when OAT was enrolling patients and the time period when this study examined changes in trends," said Kaplan, who was not involved with the study. "For example, after 2004 the use of drug-eluting stents has markedly improved the durability of the PCI result, which may have favorably altered outcomes in OAT [study] patients," he explained.
More information
The U.S. National Heart, Lung, and Blood Institute has more about coronary angioplasty.
SOURCES: Archives of Internal Medicine, news release, July 11, 2011; Barry Kaplan, M.D., vice chairman of cardiology, North Shore University Hospital in Manhasset, N.Y. and Long Island Jewish Medical Center in New Hyde Park, N.Y.

24.Psoriatic Arthritis Patients Seem to Lack Enough Vitamin D
However, blood levels of the vitamin don't affect disease activity, researchers say
HealthDay News2011年7月11日

Vitamin D insufficiency is common among people with psoriatic arthritis, but levels of the vitamin in the blood do not affect disease activity, a new study finds.
People with psoriatic arthritis have the chronic skin disorder psoriasis accompanied by inflammatory arthritis.
The study, published in the July 11 issue of the journal Arthritis Care & Research, included more than 300 patients living in Toronto and Haifa, Israel, two geographically diverse locations. Vitamin D levels in the blood -- known as 25-hydroxyvitamin D [25 (OH) D] -- were measured in the summer and winter.
Vitamin D is produced by the skin in response to exposure to sunlight. It is also found in certain foods, including eggs, fish and fortified foods such as dairy products and breakfast cereals.
In the Canadian patients, 56 percent had insufficient 25 (OH) D levels during the winter and 59 percent had insufficient levels during the summer. In the Israeli patients, 51 percent had insufficient levels in the winter, and 62 percent had insufficient levels in the summer, the investigators found.
Vitamin D deficiency was found in 3 percent of the Canadian patients only in winter, 4 percent of Israeli patients in winter, and 1 percent of Israeli patients in summer.
Seasonal or geographic differences in vitamin D levels were not statistically significant, and vitamin D levels did not affect disease activity, concluded lead author Dr. Dafna Gladman, director of the University of Toronto Psoriatic Arthritis Clinic, and colleagues.
However, further research is required to determine if psoriatic arthritis patients require a higher-than-normal intake of vitamin D in order to maintain healthy levels, the researchers pointed out in a journal news release.
More information
The National Psoriasis Foundation has more about psoriatic arthritis.
SOURCE: Arthritis Care & Research, news release, July 11, 2011

25.Sleep Apnea Linked to Blood Vessel Disorders in Study
Treating breathing disorder may help avoid heart conditions, researchers say
HealthDay News2011年7月11日

Obstructive sleep apnea, a condition that causes pauses in breathing during sleep, plays a role in blood vessel abnormalities and should be treated to prevent potentially fatal heart conditions, a new study suggests.
About 15 million adults in the United States have obstructive sleep apnea, according to the American Heart Association. The condition may cause changes in blood vessel function, cutting blood supply to the heart in otherwise healthy people. Blood vessel dysfunction has been linked in previous research to cardiovascular disorders.
For the study, published July 11 in Hypertension, researchers monitored blood vessel function in 108 healthy people. The participants were divided into three groups: those with moderate or severe obstructive sleep apnea without high blood pressure, those with high blood pressure but no sleep apnea, those with neither sleep apnea nor high blood pressure.
The researchers found that among those with sleep apnea, blood supply and function improved after the participants received 26 weeks of continuous positive airway pressure (CPAP) using a device that holds the airway open during sleep.
"The findings should change how doctors treat patients with obstructive sleep apnea," study author Dr. Gregory Y.H. Lip, a professor of cardiovascular medicine at the University of Birmingham in England, said in a journal news release. "Even apparently healthy patients with sleep apnea show abnormalities of small and large blood vessels, as well as impaired blood supply to the heart muscle, and these can improve with CPAP therapy."
The study authors concluded awareness of the link between obstructive sleep apnea and heart disease is essential. "The condition can be treated, and it is important that clinicians look out for it," said Lip.
More information
The U.S. National Institutes of Health provides more information on sleep apnea.
SOURCE: Hypertension, news release, July 11, 2011

26.Study: Potassium Boosts Heart Health, Salt Harms It
Combo of high sodium, low potassium called 'double whammy' for cardiovascular risk
HealthDay News2011年7月11日

Too much salt and too little potassium in your diet may boost your risk for cardiovascular disease and death, a new study shows.
Earlier studies had found an association between high blood pressure and high levels of salt consumption and low levels of potassium intake. The combination of high salt -- sometimes called sodium -- and low potassium appears to convey a stronger risk for cardiovascular disease and death than each mineral alone, the study authors said.
"The combination of high sodium and low potassium is really a double whammy for cardiovascular risk and for mortality," said lead researcher Dr. Frank B. Hu, a professor of medicine at Harvard Medical School.
Although sodium and potassium act independently, high potassium levels can counteract some of the effect of high sodium, Hu said. "But the adverse effects of high sodium cannot be completely offset by a high potassium diet," he said.
For the study, published in the July 11 issue of the Archives of Internal Medicine, Hu's team collected data on 12,267 people who were part of the Third National Health and Nutrition Examination Survey Linked Mortality File, from 1988-2006. In addition to mortality data, this survey contains dietary information.
To find out the role of salt and potassium and the risk of cardiovascular disease and death, the researchers looked at the levels of these minerals and the ratio between them. Over an average of 14.8 years of follow-up, 2,270 people died. Of these, 825 died from cardiovascular disease -- which includes stroke -- and 443 died of heart disease.
After taking into account variables such as gender, race and ethnicity, weight, high blood pressure, education and physical activity, Hu's group found that high salt intake was associated with a 20 percent increased risk of death, while high potassium intake was associated with a 20 percent decreased risk of dying.
What's more, high salt consumption coupled with low potassium intake was a significant risk factor for cardiovascular disease and heart disease, the researchers added.
"We should continue to reduce the amount of sodium in our diet, especially in processed foods," Hu said. "We should also promote high consumption of potassium, especially from fruits and vegetables," he added. "Those things should go hand-in-hand."
While the study uncovered an association between heart disease and the two minerals, it did not prove a cause-and-effect.
Commenting on the study, Lona Sandon, an assistant professor of clinical nutrition at the University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas, said, "The findings are not surprising to me."
The benefits of potassium to counterbalance the effects of salt for controlling high blood pressure have been known for years, but get little attention, Sandon said. "There have been hints in the past research literature that the ratio of the two may be more important than the nutrients individually," she said.
Diets with plenty of fruits and vegetables are associated with better heart health, Sandon said. "Fruits and vegetables are your best natural sources of potassium and they are naturally low in sodium," she explained.
"I agree with the authors that more emphasis should be put on the importance of getting more potassium while lowering sodium intake," Sandon said.
"The DASH (Dietary Approaches to Stop Hypertension) diet does just that and has been around for quite some time now," she stated. "It encourages people to eat more foods high in potassium (fruits, vegetables, low-fat dairy) while eating less sodium-laden foods."
Sandon noted that this is consistent with the 2010 Dietary Guidelines for Americans, which encourage increased fruit and vegetable intake while lowering intake of foods high in sodium.
Those guidelines recommend that Americans limit their daily salt intake to less than 2,300 milligrams (about a teaspoon) for most people, and to less than 1,500 milligrams for people 51 or older, all blacks, and people who have high blood pressure, diabetes or chronic kidney disease, regardless of their age.
More information
For more on ways to reduce salt in your diet, visit the U.S. National Heart, Lung, and Blood Institute.
SOURCES: Frank B. Hu, M.D., Ph.D., professor, medicine, Harvard Medical School, Boston; Lona Sandon, R.D., assistant professor, clinical nutrition, University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas; July 11, 2011, Archives of Internal Medicine

27.Coordinated Cooling Effort After Cardiac Arrest Can Improve Outcomes
Study found new system reduced neurological damage among patients
HealthDay News2011年7月11日


Cooling cardiac arrest patients can reduce the risk of lasting neurological damage, but this lifesaving treatment remains largely underutilized, a new study says.
Many local hospitals don't have the proper systems in place, and the cooling treatment must start within hours of a cardiac arrest to be effective, according to the report in the July 11 online issue of Circulation, but rapid transfer to an appropriate facility can save lives and stave off lasting neurological damage.
About 300,000 cardiac arrests occur outside of hospitals in the United States each year, and most are fatal, according to the American Heart Association. Cardiac arrest occurs when the heart's electrical system short- circuits, and the heart suddenly stops pumping. What happens immediately after the arrest can make a big difference in outcomes. CPR must be performed and a defibrillator should be used to shock the heart and restore a normal heart rhythm within a few minutes, and then the patient must be packed in ice and transferred to a hospital for cooling and re-warming.
Cooling involves lowering the core body temperature to about 92 degrees Fahrenheit and keeping it there for 24 hours. The patient is re-warmed over the next eight hours. The thinking is that cooling may allow the body and the brain to get by with less oxygen.
The system detailed in the new study involves "rapid and coordinated" transfer of the patient to a facility that has appropriate systems in place. Developed at the Minneapolis Heart Institute of Abbott Northwestern Hospital, the system involves first responders, Emergency Medical Service (EMS) departments and more than 30 hospitals within 200 miles of Minneapolis, which is where Abbott is located.
Of 140 people treated with cooling after cardiac arrest, 107 were transferred to Abbott Northwestern Hospital for their treatment. The others were sent to this hospital immediately. Overall, 56 percent of patients who were cooled survived. Survival rates were the same among those who were transferred and those who received initial care at the treating hospital. Risk of death increased by 20 percent for every hour of delay in starting cooling.
Among survivors, 92 percent showed no sign of severe neurological disability, compared to 77 percent of similar patients treated prior to use of the new system. Patients had an average age of 62, and 77 percent were men. The older patients had greater risk for neurological damage, the study showed.
"People don't just arrest near large centers, but it's not hard to implement this program," said study co-author Barbara Unger, director of cardiovascular emergency program development for the Minneapolis Heart Institute.
"If a patient does not regain consciousness after cardiac arrest, you do an EKG to see if they also had a severe form of heart attack [ST-elevation myocardial infarction], and then you may pack them in ice," she said. "The patient is then transferred to a large tertiary center because you need a wide variety of specialists, including cardiologists, neurologists, emergency room doctors and critical-care nurses on board."
About half of all patients who received the cooling treatment were also being treated for ST-elevation myocardial infarction, she said.
Saving lives after cardiac arrest starts even before EMS arrives, Unger said. "Bystanders need to perform CPR and use a defibrillator to deliver an electric shock to the heart," she said. "We have great outcomes waiting for them, but they have to start it."
"Hypothermia is a very powerful treatment, but it has been a very slow process getting hospitals on board," explained Dr. Benjamin Abella, an assistant professor of emergency medicine and director of clinical research in the Perelman School of Medicine Center for Resuscitation Science at the University of Pennsylvania Medical Center in Philadelphia.
"Hypothermia is a complicated, multi-disciplinary treatment modality, and you need a protocol," he said. "One of the big challenges is getting different cultures, such as neurologists, emergency room doctors, cardiologists and nurses, working together."
One feasible option is to transport these individuals to a regional hospital, he said. "This may be the way forward," he said. "The new study is an excellent example of a highly functional system."
More information
For more on cardiac arrest, visit the American Heart Association.
SOURCES: Benjamin Abella, M.D., M.Phil., assistant professor, emergency medicine, and director, clinical research, Perelman School of Medicine, Center for Resuscitation Science, University of Pennsylvania Medical Center, Philadelphia; Barbara Unger, R.N., director, cardiovascular emergency program development, Minneapolis Heart Institute; July 11, 2011, Circulation, online

28.Parkinson's Patients Still Prescribed Antipsychotics Despite Warning
Six years after FDA cautioned drugs may worsen symptoms, overall prescription number unchanged, study finds
HealthDay News2011年7月11日

Antipsychotic drugs are still prescribed to more than half of U.S. patients with Parkinson's disease and psychosis even though a warning that these drugs can worsen Parkinson's symptoms was issued six years ago, a new study reveals.
Many Parkinson's disease patients, including as many as 45,000 in the United States, eventually develop psychosis, meaning their thoughts are sometimes disconnected from reality. Parkinson's disease is also associated with dementia and complications of that condition, which may be exacerbated by antipsychotic drugs, according to the researchers.
In 2005, the U.S. Food and Drug Administration ordered antipsychotic drug packages to carry a "black box" warning about the risks the drugs pose to Parkinson's patients.
In the new study, published in the July issue of the journal Archives of Neurology, researchers analyzed Veterans Affairs data from 2002 to 2008 to assess antipsychotic drug prescription rates among 1,804 Parkinson's disease patients without dementia, 793 Parkinson's patients with dementia, and 6,907 patients with dementia and psychosis but no Parkinson's disease.
The investigators found that about half of the patients with Parkinson's disease and psychosis received an antipsychotic drug prescription. Use of the drugs was higher among patients with both Parkinson's disease and dementia than among those without dementia.
Between 2002 and 2008, the overall rate of antipsychotic prescriptions for Parkinson's patients was unchanged despite the warnings issued in 2005, but there was a decrease in the use of some antipsychotic drugs and an increase in the use of others, Dr. Daniel Weintraub, of the University of Pennsylvania, and colleagues noted in a journal news release.
"Approximately one-third of our Parkinson's disease sample had comorbid dementia, and many more likely had mild cognitive impairment," the authors wrote. "This has significant clinical implications in Parkinson's disease given the increased morbidity and mortality associated with typical and atypical [antipsychotic drug] use in dementia populations."
Even though prescribing habits appeared to shift toward antipsychotic drugs that are better tolerated by Parkinson's disease patients, those drugs are not necessarily safer or more effective, the researchers noted.
The researchers called for further studies to learn more about the factors that contribute to both overall and specific antipsychotic drug use in Parkinson's patients and to examine the effects of antipsychotic drug treatment on illness, death and disease progression in Parkinson's disease patients.
More information
We Move has more about Parkinson's disease.
SOURCE: Archives of Neurology, news release, July 11, 2011

29.JMM:原発作業員・福島県民の声

夏に向かい福島もますます暑くなる中、東京電力福島第二非常勤産業医として6月28日から現地入りし、福島第一、第二発電所所員の健康管理の支援を7月1日まで行って来ました。同時に、現地の協力企業の方とも話ができ、以下のような声を聞きました。
・熱中症対策として、東電では防護服の下に着るクールベストを用意し、休憩所も用意しているが、クールベストは30~60分で熱くなることや、重いことから嫌う人もいる。
・炎天下の中で全面マスクをすることにより、特に眼鏡をかけている人はマスクが曇り、作業が困難である。
・休憩所まで現場が遠い所がある。
 今回の滞在中にいわき市内で内科を開業されている先生にお願いして機会を利用して、原発作業員のための、万が一の高線量被曝に備えた事前の自己末梢血幹細胞採取・保存(虎の門病院、谷口プロジェクト)に関して電離放射線従事者健診を受診された東電の関連企業に勤務する原発作業員の方々数名にアンケートを実施して頂きました。原発作業員、そのご家族、現地の医師の生の声をご紹介させて頂きます。
 なお、参議院議員会館で行われた本件の勉強会のもようもご覧頂ければ幸いです。
 
 
 
【アンケート内容】
1.高線量被曝の危険性について、
2.谷口プロジェクトについて
3.採取・保存の希望
4.希望しない理由
5.自由意見
【50代女性、弟が関連企業勤務】
1.大変不安、2.知らない、3.よくわからない、4.薬の副作用が心配、時間がない、5.作業員が勝手に受けてもいいのか、個人で希望しても会社側の休みの調整がとれるのか、今後の家族や生活の保障が十分されるのかが分からない。一時的な作業員というだけで流されてしまう感じがする。不安だ。一部の現場の人間しか事の重大さを感じていない。国全体で守ってほしい。
【40代男性、関連企業勤務】
1.あまり不安を感じない、2.知らない、3.はい、4.非該当、5.現在行っている建物周辺の作業においては、採取・保存の処置は必要ないでしょう。しかし、建物内部に入って作業を行う人は実施した方がよいと思われます。まずは原発(1F)をどのように廃炉まで持って行くのか、それを提示出来るようにする事が大切だと思っています。その中でリスクの高い作業が見えてくると思うのですが。。。特に、国や東電からの被曝上限引き上げに対し、「No」を言えない会社の人は絶対やった方が良いと思う。
【40代男性、関連企業勤務】
1.大変不安、2.知っている、3.はい、4.非該当、5.内部被曝してからの影響のデータが少なすぎると思います。子どもと接した時、その子供への影響も心配です。家族は当然現場へ行って欲しくないと思いますが、行くしかないのも現状です。ならば最大限の健康管理はして欲しいものです。作業員を取り巻く環境は決して良くありません。ホールボディーカウンターすら、1カ月経過しても受けられない状態です。全て個人任せでは困るのですが。
【50代男性、関連企業勤務】
1.少し不安、2.知らない、3.よく分からない、4.時間がない、費用負担が大きい
【40代男性、関連企業勤務】
1.不安、2.知らない、3.よく分からない、4.副作用が心配、時間がない、費用負担が大きい、5.熱中症患者がほぼ毎日出ている状況で、作業量は増加しています。今後さらに気温が上がりますので心配です。世論や国に方からの圧力等の影響もありますので、作業が次々と増えるのではと思います。夏の間は最低限の作業以外は中止にして欲しいのが本音です。線量は下がっていますが、それは下がってきた場所で作業を始めて行くというだけで、少し離れると表面で10ミリシーベルト毎時、高いところでは100ミリシーベルト毎時もザラです。瓦礫の撤去や遮蔽よりも作業を優先している感じです。線量のい年度末のリセットも疑問です。5年間のしばりもありますが。。。今は朝の4時に起きて、仕事に向かいます。その分終了時刻は15時です� ��、実際に旅館に帰るのは17~19時の間くらいで、これから夏の間はサマータイムとして続きます。正直、現在の全面マスク・防護服などの装備と寝不足で夏場は死にますよね?
【40代、内科開業医】
 事故後、毎日4~5人の原発作業員の健康診断をしています。食事は生ごみを出せないため、レトルト、カップめん、パンなどの状態で、部屋の中も50マイクロシーベルトあり、マスクを外して食事をするのも不安だと作業員は話していました。不衛生な状態のようです。劣悪な環境での仕事で、熱中症も毎日発生していると、ある関連企業の方は話していました。谷口プロジェクトの話は、質問した人のほとんどが知らないと答えています。コストの面があるのかもしれませんが、個人で希望される方は必ずいると思います。会社と無関係で手続きが出来るようにするのも、一つの考えではないでしょうか。原発作業員に対して電離放射線健診をこれから毎月やっていくと思いますが、世界でも未曾有の放射線被曝者を診察していかなく� ��はならず、地元の医師は専門知識がなく不安です。谷口プロジェクトが国に認められなくても、必ず必要とされるであろう、よい方法であるのなら、地元の医師のためにも真剣に話し合いをして頂きたいと切に思います。
愛媛大学大学院医学系研究科医療環境情報解析学講座
公衆衛生・健康医学分野教授/東京電力非常勤産業医
谷川 武

30.<速報>新潟県内のA事業所で起きた風疹感染

31.<速報>1年にわたる気管支炎・肺炎の流行と検出ウイルスの推移―秋田県

32.ブタの日本脳炎HI抗体保有状況調査-2011年速報第1報-

33.腸管出血性大腸菌感染症発生状況(速報) 第26週

34.米国産のウシ由来の原材料を使用している医薬品等について

35.平成22年国民生活基礎調査の概況

36.プレスリリース

1) がん細胞による免疫応答抑制の新たな仕組みを解明

2) World's First SVM-Based Image Analysis iPhone App for Melanoma Risk Assessment, MelApp, Launched by Health Discovery Corporation

3) 「痔の大規模患者調査」受診率は4割、誰にも相談せず一人で悩むのも4割

4) 医薬品による副作用情報を電子カルテから抽出する技術を東大病院と共同開発

5) 電子カルテの入院経過表に血糖測定データを転送するシステムを提供



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